石綿救済法の認定を受けられた方には、大きく分けて、①労災補償を受ける権利が時効消滅していた方、②仕事中の石綿ばく露が原因だが、労働者ではなかったと判断された方、③仕事以外の石綿ばく露(家族ばく露、環境ばく露)が原因か、ばく露原因が不明な方がおられます。
このうち、①の方は労災認定の場合に準じた補償が受けられます。
次に、②の方(個人事業主、一人親方、会社経営者の方が多いと思われます)は、過去の職歴を見直し、アスベストによる病気の原因が労働者として働いていた間の石綿ばく露であると判断されれば、労災認定(石綿救済法よりも手厚い補償)を受けることができます。
アスベストによる病気は、吸い込んだ後、十数年から数十年も経って発症するため、勤め先が倒産したり廃業したりして、事業主証明がもらえない場合もあります。また、親族が経営する職場で働いていたために、労働者であったことが証明し難い場合もあります。遺族の方には、被害者がどの仕事でアスベストを取り扱ったか分からない場合も多いことでしょう。こうしたケースでも、資料や文献を調査したり、同僚を探したりして、労働者として働いていた間の石綿ばく露が原因であることが明らかになる場合があります。
また、①と②の方の中には、労災認定を受けられた方・遺族の方と同様に、石綿救済法による補償とは別に企業や国から賠償金を受け取れる可能性がある方が含まれます。詳細は具体的な事情によって異なりますので、弁護士にご相談下さい。
なお、②と③の方に対する石綿救済法の補償は、極めて不十分です。そもそも石綿救済法の対象となる病気が労災認定よりも限定されている点も問題であり、抜本的改正が必要です。