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解説編その3:相続財産の調査

 亡くなった被相続人と同居していて、被相続人の財産について詳細を聞いていたとか、管理を任されていたというような場合は、相続財産を改めて調査する必要はほとんどありません。しかし、被相続人と離れて暮らしていたうえに、被相続人が亡くなった後も、相続財産の詳細を知っていると思われる相続人が相続財産についてきちんと教えてくれないというような場合は、自分で調べてみる必要がある場合もあります。どのようにして調査したらよいかがここでの問題です。

1.不動産

 被相続人名義の不動産の所在が明らかな場合や、被相続人と関係があると思われる不動産(自宅や会社事務所、貸家など)の所在がわかっている場合には、管轄の法務局に行けば、その不動産の登記簿を調べ、記録事項の証明書を取得することが誰でもできます。もし被相続人名義の不動産がある市区町村内に存在するはずであるけれども、どこにあるか詳しくはわからないという場合には、その市区町村の固定資産税課に「名寄帳」(なよせちょう)を申請する方法もあります。この名寄帳には、その市区町村内に存在する同一名義人の不動産(未登記物件も含む)が全て記載されているので、それによって確認することができます。

2.預貯金

 被相続人が預貯金を有していた銀行名と支店名がわかる場合ば、相続人であることを証明するもの(被相続人の除籍謄本と相続人の戸籍謄本および運転免許証等の本人確認物)を用意してその銀行の支店に行けば、被相続人の死亡時の残高証明書や入出金の履歴を取り寄せることができます。被相続人の生前や死亡前後に誰かが不正に預貯金を引き出した可能性がある場合は、手数料がある程度かかりますが入出金履歴を取得することが有効です。
 銀行や支店がわからない場合は、ある程度めぼしをつけて残高証明書や入出金履歴を取り寄せるしかありませんが、ゆうちょ銀行はどこの郵便局の貯金であってもその地域を統括する郵便貯金事務センターで統一管理をしていますし、大手銀行のいくつかは支店を通じて統一管理をしていますので、最寄りの窓口で照会の手続をすれば預貯金の有無は判明します。被相続人名義の不動産に担保が設定されている場合は、借入先の金融機関名と取扱支店が記載されており、そこに預貯金が存在するはずですので、照会します。その他、被相続人が給与や年金の支給を受けていた場合や、光熱費等の銀行引き落としをしていたと思われる場合は、関係先に振り込みや引き落としをしていた金融機関名と支店を問い合わせれば、わかることもあります。ただし、このあたりまで調査するのであれば、弁護士などの専門家に依頼した方がよいかも知れません。

3.その他の金融資産

 株式や投資信託等の有価証券類は、証券会社に対して預貯金と同様の照会を行うことになります。

4.専門家が必要となる、複雑な場合は?

 以上の調査は、相続人自身があちこちに当たって1つ1つ調べて行くというやり方である程度はできますが、事務的なノウハウや、芋ずる式に調べて行く手法なども必要ですので、調査の範囲が広く複雑で、かつ得られた資料の分析が必要な場合は、弁護士等の専門家に依頼されるのが有効と言えます。弁護士の場合は、弁護士会を通じて公私の団体に照会を行う手続をする方法も持ち合わせています。

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