◆アスベスト訴訟の弁護士選びに迷ったら

「アスベスト × 弁護士」でインターネット検索すると、いくつもの法律事務所や弁護団のホームページが出てきます。アスベスト訴訟を弁護士に依頼するメリットや、弁護士の選び方についての解説記事もあり、どの弁護士(法律事務所、弁護団)に相談・依頼するのが良いか、迷う方も多いのではないでしょうか。
しかし、実績や経験が豊富で信頼できる弁護士に頼みたいと思っても、「実績や経験」をどうやって判断したら良いのか、分かりやすく解説した記事はほとんど見当たりません。
ここでは、大阪アスベスト弁護団に所属する伊藤明子弁護士が、15年以上にわたりアスベスト事件に取り組んで来た経験から、弁護士の「実績や経験」を判断するポイントをご説明します。

◆「勝訴判決をかち取った実績」が重要なポイント

【アスベスト裁判で判決の実績がある弁護団、弁護士かどうか】

いずれの類型の裁判であったとしても、相談したり依頼するときのポイントは、依頼しようとする類型の裁判において判決をかちとった実績のある弁護団・弁護士事務所かどうかです。

あるいは、依頼しようとする種類そのもの裁判ではなくても、アスベスト被害についての裁判において判決を得た経験があるかどうかは重要なポイントになります。

「判決をかち取った実績」が重要である理由は、きわめて専門的な裁判であるアスベスト被害に関する裁判を提訴し、勝訴判決まで完遂した経験があるということは、アスベストに関する調査、研究を行う能力、それによって蓄積された豊富な知識と経験、勝訴に導く法律家(集団)としての力量を備えていることを証明しているからです。

アスベスト裁判は専門的な知識と経験、医学・アスベスト専門家との協力関係が必要な裁判です。そうした能力を備えているかどうかの指標が「アスベスト裁判において判決をかち取った実績」といえます。

相談しようとする弁護士(事務所)が、「判決経験をもつ実績のある経験豊富な弁護士(事務所)」かどうか、よく見極めるようにすることが重要です。

これは30年以上前からアスベスト問題に取り組んでいる全国労働安全衛生センター連絡会議のホームページ【アスベスト(石綿)裁判を相談・依頼する弁護団・弁護士について <アスベスト裁判を考えている被害者の方々へ>】からの引用です。正にこのとおり。

◆なぜ「和解実績」ではなく「判決実績」なのか

判決は、原告と被告がそれぞれの主張を闘わせ、立証を尽くした結果、裁判所が認めた事実や判断を示したもの。泉南アスベスト国賠訴訟であれば8年余、建設アスベスト訴訟であれば13年に及ぶ裁判の凝縮されたエッセンスが判決です。膨大な証拠資料を集めて整理し、被告との厳しい攻防を経た結果の判決ですから、勝訴判決をかち取った弁護士は、その事件を知り尽くしています

一方、工場型アスベスト国賠訴訟は、泉南アスベスト国賠訴訟の最高裁判決後、国が裁判上の和解に応じることを前提に提起される裁判です。最高裁まで争われた多くの争点はすでに決着済みですから、和解を前提とした裁判では、判決で示された一定の要件への当てはめだけが主な争点となります。簡単に要件に当てはまる事件も多く、そうした事件で和解を成立させるのに、高度な専門知識や経験は必要ありません。

つまり、アスベスト訴訟の「実績や経験」と言っても、「和解実績」なのか「判決実績」なのかによって、その意味・価値は大きく異なります。知識・情報や証拠資料の蓄積、調査・研究する能力、論理力・説得力、弱点を発見・克服する努力・・・困難な事件で勝訴判決をかち取るまでに培われる弁護士(集団)としての専門性、実力は、簡単な「和解実績」をいくら積み重ねても身につくものではありません。決して「弁護士なら誰でも同じ」ではないのです

例えて言えば、一定の要件を示した「判決」は、建物の設計図や料理のレシピみたいなもの。建築職人や料理人なら、設計図やレシピを入手し、見よう見まねで建物や料理(和解実績)をつくることはできるでしょう。しかし、設計図やレシピ自体(判決実績)をゼロからつくり上げた建築職人や料理人のチームと、全く同じレベルの仕事ができるでしょうか。同じような完成品ができたとしても、材料の入手経路や微妙な味付け、完成までのスピードや出来映えは異なるかも知れません。

なお、アスベスト訴訟に関する法律事務所のホームページでは、B型肝炎訴訟の和解実績や一般の労働事件の経験が豊富なことをアピールしているものも見受けられます。しかし、アスベスト訴訟とそれ以外の訴訟・事件とでは、当然ながら必要な知識も証拠資料も大きく異なります。B型肝炎訴訟の和解実績や一般の労働事件の経験が豊富だからと言って、アスベスト訴訟の「実績や経験」が豊富とは限りません。

◆アスベスト訴訟判決の解説

インターネットを検索すると、アスベスト訴訟の判決を詳しく解説した記事も見受けられます。こうした記事は、多くの方に重要な判決の内容を分かりやすく紹介するもので、たいへん有益です。

もっとも、判決は判例集などで公表されており、誰でも入手できますので、判決を勝ち取った弁護士でなくても、解説を書くことはできます。判決を詳しく解説した弁護士が、その事件を知り尽くしているとは限りません。

先ほど述べたとおり、判決は、長きにわたる裁判の凝縮されたエッセンスです。その背景には、判決には書かれていない膨大な事実・証拠の積み重ねがあり、これらに接するのは、通常、その事件を担当した弁護士と裁判官だけです。やはり、その「勝訴判決をかち取った実績」のある弁護士(集団)かどうかが、専門性、実力を見極める重要なポイントです。

◆まとめ

アスベスト被害についての国や企業への賠償請求は、大切な健康や家族を奪われた正当な代償を求めることに他なりません。
弁護士への相談は、その第一歩です。
アスベスト被害の相談、アスベスト訴訟の依頼にあたっては、勝訴判決、特に「最高裁判決を勝ち取った実績・経験」があるかどうかが、弁護士選びの重要なポイントです。

当事務所の伊藤明子弁護士が所属する大阪アスベスト弁護団は、泉南アスベスト国賠訴訟と建設アスベスト訴訟で最高裁判決を勝ち取っただけでなく、中央電設事件や三井倉庫事件などの企業に対する損害賠償請求訴訟でも最高裁決定を含む多数の判決を勝ち取っています。
被害者に寄り添い、相談者にとって最良の解決実現するために、あらゆる手段を尽くす弁護団。
訴訟はもちろん、労災申請や企業交渉など、全てのアスベスト被害のご相談に、誠意を持って取り組んでいます。
どうか、私たち大阪アスベスト弁護団にご相談ください。自信をもっておすすめします。
もちろん、かけはし法律事務所にご相談いただいても結構です。私が丁寧に対応します【伊藤明子】